BtoB SaaS企業が見落としているデザイナー採用でやるべき3つの施策

こんにちは、HERPでプロダクトデザイナーとデザイナー採用の責任者を務めているオオカワラ(@o_kwr)です。
この記事ではBtoB SaaSを提供する企業のデザイナー採用において、採用成果を出すために当たり前に必要であるにも関わらず見落とされがちな施策について紹介します。
目次
・BtoB SaaS企業のデザイナー採用では当たり前に必要なことができていない
・採用担当が気づけていないBtoB SaaSデザイナー採用の実態
・BtoB SaaS企業がデザイナー採用でやるべき施策
・①:デザイナー向け採用資料を作成して、自社の魅力を伝える
・②現場のデザイナーと協働し精緻な人材要件定義をする
・③チャネル毎の特性を理解し正しく使い分ける
・まとめ
BtoB SaaS企業のデザイナー採用では当たり前に必要なことができていない
一般にBtoB SaaSをはじめ、業務システムやSaaSアプリケーションを開発する企業においてデザイナーの採用はBtoC企業に比べ難しいと言われています。
それには、そもそもの母数が少ないことや、toBのサービスがtoCに比べて”誰が何を誰のために作っているか”が伝わりにくく求職者が集まりにくいという事情があります。
しかし、私自身がBtoB SaaSのデザイナー採用の責任者として採用に携わっていく中で、それは難しさの理由の一部でしかないと感じました。
本当の理由はほぼ全ての企業が転職やキャリアチェンジを考えているデザイナーにとって本当に知りたい情報をオープンにしていないだけだからではないでしょうか。
そう、つまり「伝える」という当たり前に必要なことができていないだけなのです。
そこで本記事では、BtoB SaaS企業のデザイナー採用で見落とされがちな「伝える」施策を紹介していきます。
採用担当が気づけていないBtoB SaaSデザイナー採用の実態
具体的に何を実施すべきかを紹介する前に、BtoB SaaSデザイナー採用でよくある悩みとその正体について解説します。
正しく採用広報ができていないので母集団形成につながらない
「ちゃんと会社紹介資料を作ったり、SNSを使ったりして発信をしているのに応募が集まらない」そんな母集団形成についての悩みをよく聞きます。
たしかに、最近は採用広報が浸透し採用に関する発信を強める企業が増えてきました。
しかし、ことデザイナー採用に関しては、デザイナーという専門性を有した職種の立場から見て、この企業あるいはチームにジョインするに足る魅力や得られる機会が伝わる発信をしている企業というのは皆無だと感じています。
図は、デザイナー採用におけるありがちな魅力アピールとそのときのデザイナーの心の声を表したものです。
このように、”デザイナー”として働く上で「本当に知りたいリアルな情報がない」「情報の解像度が低い」発信では、そもそもデザイナーに興味を持たせることから失敗してしまいます。
したがって、デザイナーの応募を集めたい場合には、まずデザイナーという視点で徹底的に興味を持たせるコンテンツを盛り込んだものが必要となります。
正しく人材要件定義ができていないのでミスマッチを起こしてしまう
「エントリーはあるけれど、うちの会社やチームに合うデザイナーの応募がない!」
そんなミスマッチの問題を抱えているときは、デザイナーの人材要件定義を見直してみましょう。
ミスマッチを引き起こすのは、その企業あるいはチームにおいてデザイナーというロールに対して要求する業務内容と、そこに対応する具体的なスキルや経験を言語化できていない”曖昧”な人材要件定義であることが多いです。
図では業務内容の定義の例を示しています。一言に「UIデザイン」「機能の要件定義」「グラフィックデザイン」と言ってもこれくらいの解像度を持った業務内容の定義をしなければミスマッチが発生します。
また、具体的にどういうことをするのかが曖昧だと、曖昧だからこそ求めるスキル感やそこから生まれるであろう成果に過剰な期待が発生し、ミスマッチを生む要因にもなります。
この曖昧さを解消してくれる、デザインにまつわる全てのスキルセットが備わっているスーパーデザイナーの採用という現実的でない成果への期待にもつながってしまいます。
ミスマッチの解消のためには、採用目的に沿った業務スコープを定めて現実的な落とし所にした精緻な人材要件定義が必要となります。
正しく採用チャネルを選定できていないのでリソースを浪費してしまう
「とりあえず片っ端からいろんなチャネルを使ってみているけど、ただただ書類選考通過すらしない応募の対応に追われている」
これは正しく伝わる採用チャネルが選定できていないことが原因です。
デザイナー採用市場を取り巻く環境は採用チャネルの多様化、転職潜在層へのアプローチの活発化を背景に年単位で変化が起こり続けています。
それゆえ、有効な採用チャネルの選定はもちろん、取るべき戦略も大きく変わっており、もはやこの採用媒体を使ったりアプローチをしていればなんとかなるという絶対的な正解はなくなったと言えます。
よって、採用チャネルの選択においては、精緻に定義した人材要件をベースにその要件を満たす人材へアプローチできるチャネルの選択と仮説検証が必要となります。
BtoB SaaS企業がデザイナー採用でやるべき施策
それではいよいよBtoB SaaS企業がデザイナー採用でやるべき施策について紹介していきます。
結論、BtoB SaaS企業がデザイナー採用で成果を上げるために必要なことはこの3つを徹底することです。
下記より、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
①:デザイナー向け採用資料を作成して、自社の魅力を伝える
まずは、デザイナー向け採用資料を作成してみましょう。先に述べたように、デザイナーに対する採用広報にはデザイナーという視点で徹底的に興味を持たせるコンテンツを盛り込んだものが必要で、その答えになるのがデザイナー向け採用資料です。
デザイナー向け採用資料とは、デザイナーにとってその会社で働くにあたり知りたいポイントを抑えた採用広報の軸となるツールといえます。
図はデザイナー向け採用資料を作成する際に抑えるべき項目の一例です。
これらを網羅した採用資料を作成することで、ようやくデザイナーに対して発信するスタートラインに立てたことになります。
デザイナー向け採用資料のメリット
デザイナー向け採用資料の作成で得られるメリットは、母集団形成以外にも3つあります。
ひとつは、ミスマッチ応募の減少です。資料の中で、こういうデザイナーを求めていますと明確に定義されているため、ミスマッチな応募が減ります。応募数自体は減少する可能性がありますが、全応募における有効な応募数の割合は大きく向上します。
もうひとつは、有効な面談・面接の促進です。十分な情報量があるデザイナー向け採用資料を応募者に対してあらかじめ共有し理解してもらうことで、面談や面接の場が、資料には載っていないさらにコアな部分をお互いに知るための場として機能するようになります。
最後は、訴求コストの低下です。採用媒体・SNSにおけるスカウトやリファラルでのコミュニケーションにおいて、とりあえず採用資料を見てもらうというアクションだけで、深く会社のことを知ってもらえるため、候補者に対して魅力を訴求するコストが大幅に減ります。
実際に弊社ではデザイナー向け採用資料の作成により、応募数がそれまでの2倍に増加し、高い採用決定水準をクリアするインターンを2名採用できました。
デザイナー向け採用資料の作成は本当におすすめなので、ぜひ実施してみてください。
②現場のデザイナーと協働し精緻な人材要件定義をする
次に、人材要件定義を現場のデザイナーと協働して行ってみましょう。
既に指摘したように、曖昧な人材要件定義によるネガティブな影響は大きいため精緻な人材要件定義を作成する必要があります。
しかし、採用担当だけで精緻な人材要件定義を作成するのは不可能なため、現場のデザイナーを巻き込んで要件定義を行うのがおすすめです。
そのためには①デザイナーにヒアリングしながら業務内容を明らかにし、②業務内容に対して必要なスキルセットを洗い出し、③スキルの有無に対してどこまで妥協できるか(絶対に必要か)を決める3つのステップを実行するのがおすすめです。
3ステップの具体例をまとめてみたのでぜひ参考にしてください。
③チャネル毎の特性を理解し正しく使い分ける
最後は、チャネル毎の特性を理解し自社のターゲットに正しく伝わる選択をすることです。
上述したように、最近はデザイナー採用において、絶対の採用チャネルの正解はありません。
したがって、精緻に定めた人材要件定義を満たすデザイナーが存在する採用チャネルを仮説検証を繰り返しながら選択し、余分な採用チャネルへの露出を控えることが大事なポイントとなります。
図にデザイナーのスキル層別に採用チャネルをまとめましたので、採用チャネル選びの際にぜひ参考にしてみてください。
デザイナー採用の実態を踏まえると各社自走して事業へのインパクトを出せるデザイナーを採用ターゲットのメインとしているため、ミドル層およびシニア層のデザイナーの採用難易度は非常に高くなっていると言えます。
採用戦略を大きく変更し、採用難易度が比較的低いジュニア層のデザイナーを採用して社内で育成する方向性も昨今では十分ありうる選択肢だとも思います。
まとめ
ここまでBtoB SaaS企業がデザイナー採用でやるべき施策について紹介してきましたが、共通して言えることは、「自分が求職者だった場合、これだとちょっとこの会社に魅力を感じないな。こうだったらいいのに。」という懸念点をつぶしていくことだと考えています。
今回ご紹介した3つの施策を徹底することは、きっとみなさまのデザイナー採用の成果につながりますのでぜひ実践してみてください。
おまけ:弊社も現在デザイナーを募集中です。ご興味のある方はぜひ一度カジュアル面談でお会いしましょう。
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(了)