採用データの分析は目標達成のための共通言語をつくること。採用データの可視化で有効応募率を2倍に改善したココングループの採用活動とは。

――ココン株式会社について教えて下さい
ココンは、「古今東西愛されるサービスで、時代のターニングポイントを創る」をミッションに掲げ、2013年2月に創業したベンチャー企業です。主力事業であるサイバーセキュリティ領域では、リバースエンジニアリングなどの高度な解析技術を活かし、セキュリティサービスや自社開発プロダクトを提供しています。
ココン社の採用チームは、グループ全社を採用成功に導く採用のプロジェクトマネージャー
――貴社の採用の体制について教えて下さい。
小高さん:ココンは2020年11月現在、9社のグループ会社があります。ココンの採用チームでは、ココンだけでなくグループ会社の採用戦略立案および採用支援、オンボーディング支援など、採用コンサル・HRビジネスパートナーとしてサポートしています。具体的には、採用成果を向上するために、知見・知識の共有や定量的な判断材料を提供し、採用データを活用した改善施策の討議などを実施しています。将来的には、各グループ会社が自分たちで採用を円滑に実施しながら、グループ全体として一貫した意思決定ができるようになることが理想だと考えています。
グループ全体の採用の共通言語を確立するために始めた採用データの活用
――データ活用はどのような目的ではじめられたのですか。
福元さん:グループ会社や他部門の採用に関わる方との間で共通言語を持ちたかったからです。中には、採用経験の少ない事業部メンバーが採用を担当することもあるため、その場合データ活用が最も有効だと考えました。グループ会社の事業部メンバーと戦略的な議論をするために、採用における客観的なデータや材料を用いてKPI設計を行います。例えば、書類通過率が低い場合、同業種の同職種ではどの程度の水準なのか、などの観点がないと納得感も薄れてしまいます。
小高さん:変化の激しい採用市場では、採用の知見や手法は常に改善しアップデートしていくことが求められます。また、データについても継続的に追い続けていく必要があり、まずその第一歩が現状の数値可視化でした。
採用データ活用の最初の一歩は現状の可視化
――本格的なデータ活用において、どのような苦労がありましたか。
小高さん:以前使用していた採用管理ツールは、設計上欲しいデータの抽出ができず、採用の見える化にとても苦労しました。ツールに頼らず自分たちでデータの加工も検討しましたが、普段利用するツールから自動でデータの抽出ができる方が最も効率的ですし正確だと考え、ツールの見直しを始めました。HERPであれば欲しいデータを簡単に出力できるのみならず、どのような定義・形で可視化するかの部分から自社に合わせてカスタマイズしたダッシュボードを提供していたのが魅力的でした。結果として分析作業に回す工数が浮き、また実施したい分析ができるようになりました。
データドリブンでグループの採用関係者とディスカッション。採用意識の向上にも寄与
――データ活用によるこれまでの成果を教えて下さい
福元さん:PDCAを回しやすくなったことが最大の成果です。データという材料が無い頃は、グループ会社や他部門とのミーティングを実施しても感覚での議論になってしまい、施策検討や改善のための意思決定にあまりつながっていませんでした。HERPの採用ダッシュボードを基軸としたミーティングをはじめてから、母集団形成や選考通過の数値を、各事業部の事情に合わせた共通言語として議論ができるので、現在の選考基準が正しいのかなどの議論をより建設的に進められ、打ち合わせの定型化にもつながっています。
小高さん:現在、新規求人を募集する際は、まずグループ会社や他部門のメンバーとの打ち合わせを行い、採用の背景や組織課題のヒアリングや、年収・スキルに応じた採用難易度の確認、入社後のキャリアなどについて認識合わせを実施しています。2回目以降の打ち合わせでは、実際の数値を元にした議論を行っています。
――現場メンバーの方の反応はいかがでしょうか。
小高さん:候補者のマッチング率の向上や面接数の増加など、グループ会社や他部門のメンバーにもわかりやすい成果につながっているため、喜びの声をもらうことが多くなりました。
福元さん:データという明確な軸を持ち込むことで、採用に関わるグループ会社や他部門のメンバーの採用へのマインドセットも明らかに向上しており、手応えを感じていますね。
採用の成果は「いかに入社後に活躍できているか」。データはそのための指標
ー今後の貴社の採用の展望を教えて下さい
福元さん:採用において最も重要なことは、採用した人材がしっかりと現場で活躍できていることだと考えています。入社決定がゴールにならないようにするために、今後はさらなる仕組み化を通じ、グループ会社含め、採用に関わるメンバー全員が採用施策検討から改善までを高いクオリティで回せるような状態を目指しています。そのための指標として、データをさらに広範に活用していきたいですね。(了)