スタートアップが取るべきエンジニア採用戦略と実現可能性を飛躍的に上げる3つのポイント

こんにちは。HERPの冨田です。
この記事では、「スタートアップのエンジニア採用戦略を考える」と題して、主に、シリーズA前後のスタートアップのエンジニア採用についてのポイントをまとめていきます。
目次
・難しい理由1:求めるエンジニアの絶対数の少なさ
・難しい理由2:誰も自分たちの会社を知らない
・戦略の基本は、「マッチしたエンジニアが出現するニッチ市場を見つけること」
・ポイント1(人材要件定義):求人票の磨き込みと背景まで含めた情報開示
・ポイント2(母集団形成):有益な情報提供 × タレントプールづくり
・ポイント3(アトラクト):プロジェクトベースでの参画
難しい理由1:求めるエンジニアの絶対数の少なさ
まずは、そもそもなぜスタートアップがエンジニア採用を行うことが難しいのかについて考えていきます。
第一の理由は、人材要件を満たすエンジニア候補者の絶対数が少ないことです。国内のエンジニアの人口は、2020年で約100万人。営業職の人口が300万人以上いることを考えると1/3程度です。さらに、専門性の分岐が多いため、特定の技術要件かつ、転職活動の人口と絞り込むとあっという間に数百人規模になることがわかります。
図にもあるように、採用の基本は人材要件がマッチし、転職意欲が高い「マッチ×ホット」のセグメントにリーチすることが鉄則です。このセグメントで足りない場合、通常であれば人材要件を緩和し「ホットだけど要件を満たすかは不明」のセグメントへと広げていきます。
しかしながら、スタートアップで人材要件を緩和することは成長スピードを落とし、中期的には死活問題にもつながります。人材要件は落とさず、転職意欲の低い層にまでアプローチ先を広げていく必要があることがさらに難易度を上げています。
難しい理由2:誰も自分たちの会社を知らない
もうひとつの理由は、会社自体の認知度の低さです。スタートアップの企業数は約2000社、この中から気づいてもらう必要があります。良いサービスを作っていれば後からついてくるものでは決してなく、採用チームがマーケティング思考・広報思考を持ち意図的に認知獲得していく必要があります。
特に、近年は候補者の情報収集方法がWeb中心に変わっており、新型コロナウイルスへの対応からオフラインイベントの機会が減り、より一層Webからアクセス可能な情報提供が重要になっています。
戦略の基本は、「マッチしたエンジニアが出現するニッチ市場を見つけること」
そういった環境の中で、スタートアップ企業が取るべきエンジニア採用戦略は「マッチしたエンジニアが出現するニッチ市場を見つけること」です。闇雲に母集団を増やし、確率論で闘うのではなく活躍してくれる人材要件を明確化し、数は少なくても人材要件にマッチするエンジニアのいるコミュニティに参加していく必要があるのです。
以下では、成功のためのポイント3点について解説していきます。
ポイント1(人材要件定義):求人票の磨き込みと背景まで含めた情報開示
ひとつ目のポイントは、「求人票の磨き込みと背景まで含めた情報開示」です。活躍可能性が開発言語や使用技術に依存するエンジニア職は、曖昧な求人票ではミスマッチな人材が集まるリスクが高まります(そもそも、詳細でないだけで魅力的な求人に映らず、応募が増えづらくなります)。また、Web上で得られることが会わないとわからない状態でいることは、開発環境の悪さを想起させるのでビジネス職以上に情報開示が重要です。
下部よりダウンロードできる資料から、情報開示が必要な内容のチェックポイントと参考例を確認できるのでぜひ手にとってみてください。
ポイント2(母集団形成):有益な情報提供 × タレントプールづくり
ふたつ目のポイントは、「有益な情報提供を通じてタレントプールづくりを進めること」です。ポイント1で明確になった人材要件に当てはまるエンジニアが日々どんな情報を求め、どこで情報収集をしているのかがヒントになります。代表的な手法は、テックブログや勉強会とその内容のTwitterなどでの発信です。このとき、エントリーではなく純粋な情報提供を通じて知り合いになることがゴールになります。
同時に、知り合いになった後に中長期でアプローチができるようデータベース化すること、すなわちタレントプールをつくっていくことが重要です。定期的にキャリア相談・進んでいるプロジェクトの共有や相談ができる関係をつくり、アクション管理と接触履歴を残していくことで、候補者が転職意欲が高まったタイミングで適切にアプローチすることが可能になり、他社と比較されることなく一本釣りも可能になります。
このように、「有益な情報提供」と「タレントプールの拡充」のループを回すことで、ホットではないがマッチする潜在候補者へのアプローチが可能になります。
ポイント3(アトラクト):プロジェクトベースでの参画
みっつ目のポイントは、「プロジェクトベースでの参画」を促すことで候補者に意思決定しやすくすることです。自らのスキルレベルが年収や得られる機会の幅に直結するエンジニアにとって、「正社員」として制約の大きい意思決定をすることは実力者ほど大きくなります。参画の最初のステップに、業務委託やインターンなど関わり方の制限をできるだけ小さくしてプロジェクトベースで関与できる座組みを用意しておくことで裾野を広げることが可能になります。
最後に
記事で説明した内容を図解した資料をこちらからダウンロード可能です。
情報提示のチェック表や、参考例の紹介も豊富にありますので、ぜひ手にとってみてください。